仕事は3月いっぱいで辞める事となっており有休を含めるとたっぷり余裕があったので、一度日本に荷物を持って帰り少しでも身を軽くしようと考えていました。やはり二つのキャリーケースを運びずつの本帰国は大変かと思ったのです。
具体的には猫達は4月8日にバリ出発、私はそれを追って10日にジャカルタへ移動する予定になっていたので、4月初めに一度帰国し新居の契約やら雑用やら併せて荷物を運ぼうかという計画でした。
が、2月に入りコロナが騒がれ始めました。幸か不幸か旅行業界に密接に関わりのあるホテルに勤めていた事もありフライトのスケジュール変更が噂され始めました。この時はちょっとまずいのかな、という程度でとりあえず日本に一度帰るのをやめ、一週間ほど早める事にし人事課にもその旨を伝え猫移送のアグスさんには3月31日に猫をピックアップしてもらうことにしました。
その後、状況は刻一刻と悪くなっていきました。3月に入りコロナ感染者が着実に増えていった。インドネシアではジャカルタが一番感染者が多くなりジャカルタ在住のホテルのインドネシア人オーナーは危険回避のためバリ島に移動、ホテル敷地内にある別荘に暫くいることとなった。中華系インドネシア人のオーナーは本当に頭の切れる人でホテルの他に色々と事業を興して成功を収めているビジネスマン。自分の持っている知識を共有するため従業員を集めてコロナの状況、勉強会などを開いてくれた事には改めて感謝して止まない。
仕事上関係先の旅行会社の知人から聞く話もネガティブな話ばかり。もっと早められないか人事課にもう一度確認。
不運にも3月25日がニュピというバリ島の新年、すなわち一年で一番大切なイベントで祝日になりこの日の前後はお祭り気分となり公的な機関も休みがちになるという状態。帰国にあたり出国許可をイミグレからもらわねばならず、それに伴いフライトやら色々とアレンジする事があり無理を承知でお願いしました。
バリはコロナの騒動など物ともせずニュピへ向かって皆お休みモードに突入してしまいそう。それと同時期に、アグスさんから猫だけでももっと早くバリから出した方がいいとアドバイスがきました。人事課からはなんとか3日前倒しにする事ができ結局、猫達はニュピ直後の3月28日にバリを出発、私は31日に出発しジャカルタで落ち合うことになりました。
こんなにバタバタとしていたので荷物の整理もする時間もなく、二匹の猫と一緒という事もありスーツケース大小の2個だけの本帰国。2台のバイクも、たまった洋服も電化製品もガレージセールが間に合わず友人達・同僚達に全てあげることにしました。
バリでの猫達は家の内外を好きに行き来していました。女の子のハチワレのほうは一度迷子になって一週間帰って来れなかった事がありそれ以後遠出せずせいぜい庭でチョロチョロするくらい。でも男の子の黒いほうがたまに一日、二日帰って来ない時があるので出発する二日前から家から出さないようにしていました。
いよいよ3月28日、アグスさんが朝9時前に迎えにきました。もう後戻りはできません。これから三日間陸路でジャワ島に渡ります。一番心配なのがフェリーの検問。もう神頼み・アグス頼みです。
長い帰国の旅がスタートしました。
アグスさんの車に載せられたベスパーとボンド。安心できるようタオルをかけて出発。
我が子を見送る母の気分。正直心配で足が地についていませんでした。
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